11月に入り、空気の乾燥も日に日に増していくのが肌で分かります。
今回は個人的な内容ですが、冬の肌の手入れについて書きます。
朝は水で、夜は石けんとお湯で顔を洗います。洗顔後は洗いっぱなしで、水分と油分の補給は今のところしていません。
毎年、春〜夏は洗いっぱなしで水分油分の補給はまったくせず、一年を通じて出来るだけ長期間、洗いっぱなしでいられるようにしています。去年は11月になったと同時に、洗顔後の水分油分の補給を始めましたが、今年は現在まで(11月上旬)まだ補給しないで大丈夫です。今年は暖冬の影響もありそうですが、毎年少しずつ洗いっぱなしで平気な期間が延びてきてます。
以前、ちゃんと石けん生活を始める前は季節に関係なく一年中、洗顔後は必ず水分と油分の補給をしていました。市販の化粧水と乳液で、です。
ある時、長時間飛行機に乗り肌がカサカサになったので(今思えばこれも市販の化粧水や乳液のせいで肌が痛んでいたせいですが)、それまで使っていたものよりも保湿力の強い化粧水と乳液を使い始めました。使い始めてしばらくは、使うたびにうるおいが戻ってきている感じがしてとても満足していましたが、数日すると同じ化粧水と乳液を使っているはずなのに徐々にうるおい感は無くなり、ついにはカサカサに戻ってしまいました。
その経験と自分の肌で実験した結果、なるべく水分油分を補給しないというスキンケアに行き着きました。
これは、私の肌だけなのかもしれませんが、肌が必要としている以上の水分と油分を外から与えると、肌が「あら、そんなにくれるんなら私あんまりがんばらなくていいのね。」と思って自分で頑張ることをやめてしまうような気がします。すると、肌が頑張るのをやめたことを知らない私は、洗顔後に「前よりも肌のつっぱり感がすごい。もっと保湿しなければ。」と焦って、もっと保湿を補おうとします。すると、更に肌は頑張るのをやめて…、という悪循環に陥ります。
この悪循環に思い当たり、洗顔後に何もしないことを決めた時は、やっぱり正直なところすごく迷いました。「洗顔後には保湿が当たり前」という考えは一般的に考えて常識だったし、当時の私の周りには洗いっぱなしの人なんて一人もいませんでした。
一日目にすごく迷ったのを覚えています。パリパリの口の周りだけでも何かつけようか、とか、化粧水だけはやっぱりあった方がいいかも、とか、とにかく不安で不安で洗顔後ずっと悩んでいました。数日がすぎてもつっぱり感は変わらずそのままで、だけど「肌の再生サイクルは28日間らしいから、1ヶ月だけは頑張ってみよう。」と思い直して、でもいじいじと気にしてばかりでした。
ですが、本来が横着で化粧にも興味が無い性格も影響して、1ヶ月が過ぎた頃にはつっぱり感にもだいぶ慣れてどうでもよくなってきました。口の周りの皺が深くなったような気もするけどそれもどうでもよくなってました。
この頃には、他にも洗顔後に洗いっぱなしにしている方がいることをネット上で知り、自分以外の経験者の様子も知ることが出来たので、気持ちはだいぶ楽になっていました。その時知った情報によると、乾燥した冬は無理をしないで保湿した方がいいようなので、10月からは自作の化粧水と石けんメーカーから販売されているクリームを使うことにして、洗いっぱなしは春に再開することに決めました。
そして翌年5月に洗いっぱなしを再開し、その年の夏を洗いっぱなしで過ごしました。皮脂の分泌量の多い夏には、まったくつっぱり感が気にならずとても快適でした。汗をかいたらザブザブと顔を洗ってそのあと何もしなくていいのです。横着な私にはぴったりです。
以来、春夏は洗いっぱなしでいる状態が毎年続き、今年は3月から今日まで洗顔後水分も油分も補給していませんが、今はつっぱり感もまったくありません。今年はまだまだ大丈夫そうなので、洗顔後に水分油分を補給するようになるのはもっと先になりそうです。
もっと乾燥が強くなって、洗いっぱなしでは顔がパリパリするようになったら、水分も油分も補給します。でも、この時気をつけているのは、肌が必要としているよりも少なめに補給することです。「少なめ」というのは保湿力が軽いという意味で、量を少なめ、という意味ではありません。保湿成分が特別に配合された化粧水やクリームは使いません。以前は、グリセリンやはちみつを使って自分で作った化粧水とクリームを使っていましたが、今ではそういう保湿力に気を配った自作基礎化粧品もやめてしまいました。あまり必要性を感じなくなったのです。
私が保湿を抑えることに気を遣うのは、肌に怠けさせないためです。肌が外から補って欲しいと思う量よりもちょっと少なめの量を与えることで、肌は常に自分が頑張らなくてはいけない状態です。
どうも人間の身体は怠けられる環境にあるときはすぐにそれが当たり前になって、どんどん自分では何もしなくなるような気がします。そうすると気付かないうちにどんどん機能は衰えて気付いたときには何も出来なくなっています。そして、元の状態に戻るには大変な努力が必要です。楽をして鈍るのは一瞬ですが、戻るには長くてきつい道のりです。
これは肌にも当てはまり、甘やかして保湿をたっぷり与えると、肌自身は皮脂の分泌をやめ、水分を蓄えることもやめます。自分でうるおうことをやめた肌が、健康な肌であるはずがないのです。
私が欲しいのは自分でうるおうことの出来る健康な肌です。せっかく春夏を保湿無しで過ごしたのに、冬の間怠けさせては意味がありません。
補う時は、水分として芳香蒸留水を、油分としてローズヒップ油か馬油を使います。
芳香蒸留水というのは耳慣れない言葉かもしれません。フラワーウォーター、ハイドロソルなどとも呼ばれます。精油(エッセンシャルオイル)を抽出したときの副産物で、水に精油の成分が若干溶け込んでいます。そのため、かすかな香りや味があります。(日本では飲用はしないようです。)
市販品では「ローズ水」などの名称でローズの芳香蒸留水が売られていることもあります。今の日本では、比較的ローズの芳香蒸留水が手に入りやすいようですが、芳香蒸留水にはローズ以外にもラベンダーやティーツリー、カモミールなどたくさんの種類があります。そのほとんどがpH6以下の弱酸性で、中にはpH3.7などのかなり酸性側のものもあります。
私は主にローズかカモミールの芳香蒸留水を1リットル位購入し、小さなアトマイザーに移し替えて使っています。特に、何かを混ぜることもなく、そのまま洗顔後の顔に吹き付けます。
それから、空気の乾燥の度合いにより、軽くていいときはローズピップ油で、乾燥が激しいときは馬油で油分を補います。どちらの油脂もそのまま使用します。
以前、大量生産された基礎化粧品を使っていたときは、油をそのまま肌に塗ることにすごく抵抗を感じたのですが、その時私の頭で想像していたのは、食用油を顔にヌルヌルと塗っている姿でした。天ぷらを食べた後の口元のテラテラが顔全体に…と思っていたのです。でも、実際に油脂のことをよく知ってから顔に使ってみると、顔が油でテラテラすることもなく、ローズピップ油に至っては少々物足りなく感じるときすらあります。
ローズヒップ油は皮膚への浸透性がよいので、正しく適量を使えば、肌の上にずっと残りテラテラ光ることはありません。とても軽い使用感です。
ローズヒップ油の組織再生効果や老化防止効果が数年前から注目されるようになり、市販の化粧品にも多く使用されるようになってきたようです。私自身は、組織再生効果や老化防止効果を期待して使うというより、浸透性の良さからくる軽い使い心地を目的に使っています。
ただしローズヒップ油はとても酸化されやすい油なので、少量ずつ購入して開封したら出来るだけ早く使い切るようにしています。
馬油はローズヒップ油よりも重めの使用感なので、ローズヒップ油では軽すぎる時に使っています。
使用感は重めですが、人間の皮脂と脂肪酸構成が似ているせいか肌への浸透性はいいようです。
現在の一般的な傾向としては、植物性のものが好まれ動物性のものは敬遠されているようですが、脂肪酸構成の点からは、人間と同じホ乳類である馬の脂の方が植物性の油よりも人間の皮脂と近いのです。そのせいか肌馴染みもいいですし、良く精製されたものを使えば獣臭いと感じることもありません。
同じ理由から、豚の脂であるラードも人間の肌によく馴染むと感じます。私は、馬油を切らしたときにはラードを使っています。
ローズヒップ油も馬油も1〜2滴を掌に取り、掌の上で薄くのばしてから顔に広げます。
水分油分の補給は洗顔後だけで、一日に何度も補給はしません。それも、肌を甘やかさないためです。
あくまでも、目標は自分の力でうるおうことの出来る肌なので、真冬の水分と油分の補給は一時的な応急処置だと思っています。肌に過酷すぎる無理をさせないための水分と油分です。だから、今後もっと肌の状態が良くなって一年中洗いっぱなしでいられるようになるのが私の理想です。
手も身体も基本的には顔と同じです。
手は顔よりも酷使するのでカサカサになりやすいため、洗い物をした後などは必ず芳香蒸留水を2〜3回吹きつけ、手をこすり合わせて良く馴染ませてから、ローズヒップ油か馬油を1滴取り、手にまんべんなく広げるようにしています。
身体は、真冬には全身を石けんでは洗いません。汚れやすい足やおしりや脇の下のみ石けんをつけて洗い、他の部分はお湯を流しながら掌でこするだけです。
数年前までは、乾燥した季節である冬でも全身を石けんで洗っていたのですが、それでは肌の角質が取れすぎてしまうらしく、夜中によく背中やすねが痒くなっていました。この痒みも、冬は部分的にしか石けんで洗わないようにしたら、全くなくなりました。
顔はいつも表に晒されていて排気ガスなどの汚れも付き易いので一日に1回は石けんで洗いますが、身体は服で覆われているので、外からの汚れが付くことはあまり無いように思います。それならば石けんを使って汚れと一緒に皮脂も取ってしまうのではなく、出来るだけ皮脂を残したまま最低限の汚れだけを取る方法を考えて、今のところこの方法に落ち着いています。
使う石けんにも気をつけていて、真冬には保湿力が強めの石けんを使うようにしています。ことり屋の石けんの中では「冬 - チョコマーブルの石けん」や「雛 - はちみつミルクの石けん」です。身体にも顔にもたいていこの二つの石けんを使っています。
他で販売されている石けんでも保湿力強めや弱めなどいろいろあるようですので、使ってみて判断するのが一番いいと思います。