少し前では考えられなかったことですが、今、店頭にはたくさんの石けんが並べられています。これらの石けんは2種類に分けることができ、一方が油脂とアルカリと水から作られた脂肪酸塩を洗浄成分とする「石けん」、もう一方が主に合成界面活性剤から成る「洗剤」です。合成界面活性剤を使用したものは本来の意味からすると「石けん」と呼ぶことはできませんが、市販品では「石けん」の呼称があいまいになり、合成界面活性剤を使用していても「石けん」と呼ばれることがあるので、区別するために「油脂、アルカリ、水」から成る本当の石けんを「純石けん」と呼ぶこともあります。
ここでは「油脂、アルカリ、水」から成る石けんを「石けん」、合成界面活性剤から成るものを「洗剤」と呼ぶことにします。
石けんの中でも、油脂とアルカリと水のみから作られ、添加物(オプション)が全く加えられていないものは、特に「無添加石けん」と呼ばれることもあります。
石けん | 洗剤 | ||
脂肪酸ナトリウム※ | 脂肪酸ナトリウム※ | (洗剤に使われている界面活性剤の種類はとても多く、また、配合されている界面活性剤の種類は製品によりまちまちです。) | |
油脂、水を鹸化 | 油脂、水を鹸化 | ||
添加物 | なし | エデト酸塩、安息香酸ナトリウム、など |
水酸化ナトリウムは、苛性ソーダと表記されることもあります。水酸化ナトリウムという表記は主に化学的に用いられる試薬で使われ、苛性ソーダは工業的に用いられる場合に使われることの多い表記です。工業的に使われる、と聞くと、化学的に使われるものよりもランクが低いような印象を受けることもありますが、純度などの品質に大きな差はなく、かえって工業的に用いる場合の方が高純度のものを必要とする場合もあります。
石けんの原材料として使われる場合は、水酸化ナトリウムであっても苛性ソーダであっても、出来上がりの石けんの品質に差が出てくることはありません。
水酸化カリウムも同様に、苛性カリと呼ばれることがあります。